≪脳震盪≫怖いスポーツ外傷

脳震盪

脳震盪はその字のとおり脳が急激に揺れ動かされて起こる症状です。

ボクシングのノックアウトがその典型ですがサッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツでもよく起こります。

一時的に意識が無くなる、記憶が無くなる、めまい感、バランス感覚がおかしくなる、頭痛、吐気、視界がぼやけるなどの症状が現れます。

ラグビーでは倒れた選手が「魔法の水」というやかんの水をかけてもらい意識を取り戻してプレーを続けるシーンを目にしますが、試合後のことは試合内容を全く覚えていないということがよくあります。

試合後に病院で検査を受けた事や帰宅後の出来事を翌朝覚えていないというケースも時折みられます。

 

 

【脳震盪が起こりやすいスポーツ】

アメリカンフットボール、ラグビー、サッカー、ボクシング、アイスホッケー、モーターバイク、体操、乗馬、スキーなどのコンタクトスポーツや、転倒して頭部を強打しやすいスポーツに好発します。

 

香川

 

 

【症状】

意識があっても頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、目のかすみが見られます。

さらに症状が強くなると、記憶消失(名前、生年月日、住所、受傷時、その後のことなどを質問する)、ろれつが回らない話し方、呼吸・脈拍不整などが見られます。

5分以内の意識障害で頭痛があれば、重症の場合もあるのでドクターに必ず診察してもらう必要があります。

5分以上の意識障害は重症です。直ちに病院へ搬送してください。

また、頭部外傷には頸椎捻挫、むち打ち症状(頸痛、肩こり)が合併しやすいこともあります。

 

 

<症状レベル>

・軽度・・・意識を失うことがなく体が動かせない状態。

・中度・・・意識を失って2分以内に目覚めた状態。

・重度・・・意識を失って2分以上経過している場合。

この三つが目安になります。

 

ちなみに格闘技の試合でよく見るダウンしてすぐ立つというレベルならば心配ないです。

これはどんな状態かというと、意識ははっきりしているのに、極めて深く酔ったという感じでしょうか?

周りの風景がゆがんで見え、足が千鳥足になります。

 

仮に十秒程度意識を失ったとしても、それはもう軽い脳震盪ではありません。
おそらく中度以上の脳震盪は頭痛がするはずです。言うまでもなく脳にダメージを負っているのでそれ以上スパーリングをしてはいけません。

軽度の脳震盪であれば、そのまま安静にしていればほとんど危険がないといわれています。
とはいうものの24時間は様子を見ましょう。
手足の震えがひどい、頭痛がひどい、吐き気がひどいなどの異変が起きたら専門機関へ!主に脳震盪になってから6時間以内に症状がでるらしいです。特に吐き気を催すのが危険な状態です。

セカンドインパクトシンドロームといって、脳震盪に一度なった選手が再度、脳震盪になるとその時の衝撃が弱かったとしても、非常に重篤な症状を引き起こすことがあり、致死率50%とも言われている怖い状況なのです(一命を取り留めたとしても高率に後遺症を残すと言われています)

 

一度脳震盪を起こすと次の打撲で脳震盪を起こすリスクは増加し、より重篤になりやすいというセカンドインパクト症候群が知られています。

そのためアメリカ神経学会ではラグビーで明らかな脳震盪を起こした選手には3週間は試合に出させないよう忠告しているらしいです。

 

【応急処置】

脳震盪を起こしたら、まずは安静にして休ませ、意識レベル、呼吸、脈拍のチェックを行います。

次に頭、頸部のアイシング、そして意識があっても手足の麻痺〈まひ〉がないかをチェックします。

意識障害のあった選手に水を与えてはいけません。吐いてしまい、窒息の恐れがあります。

 

【競技復帰に向けて】

実際のスポーツ現場では実務上、明確な意識障害を伴う頭部打撲より、むしろ症状が軽くて早急に競技復帰の可否判断を求められる例が問題となり、意識消失の有無で大きく分かれます。意識消失(−)、記憶(−)の消失、頭痛、吐き気、めまいもなくジャンプやダッシュでも平衡感覚に異常がなければ競技は復帰可能です。

ただし頭痛や顔面蒼白があったり、興奮状態のときは復帰させず監視下に置くべきです。

 

<スポーツ現場における脳震盪の評価>

以下の症状や身体所見がひとつでも見られる場合には、脳振盪を疑います。

1.自覚症状 以下の徴候や症状は、脳振盪を思わせます。 意識消失 素早く動けない けいれん 霧の中にいる感じ 健忘 何かおかしい 頭痛 集中できない 頭部圧迫感 思い出せない 頚部痛 疲労・力が出ない 嘔気・嘔吐 混乱している めまい 眠い ぼやけてみえる 感情的 ふらつき いらいらする 光に敏感 悲しい 音に敏感 不安・心配

 

?2.記憶 以下の質問(競技種目によって多少変更してもかまいません)に全て正しく答えられない場合には、 脳振盪の可能性があります。 「今いる競技場はどこですか?」 「今は前半ですか?後半ですか?」 「最後に得点を挙げたのは誰 (どちらのチーム)ですか?」

 

3.バランステスト 「利き足を前におき、そのかかとに反対の足 のつま先をつけて立ちます。体重は両方の 足に均等にかけます。両手は腰において目 を閉じ、20秒のあいだその姿勢を保ってください。よろけて姿勢が乱れたら、目を開いて 最初の姿勢に戻り、テストを続けてください。」 目を開ける、手が腰から離れる、よろける、倒れるな どのエラーが20秒間に6回以上ある場合や、開始 の姿勢を5秒以上保持できない場合には、脳振盪を 疑います。

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脳振盪疑いの選手は直ちに競技をやめ、専門家の評価を受けましょう。 ひとりで過ごすことは避け、運転はしないでください。

 

 

監修 柔道整復師・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師 原田彰

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