そのトレーニング危険かも!?大胸筋断裂について

こんにちは‼️

A.T.長島治療院 守口です😊

本日は、トレーニング中に多い『大胸筋断裂』のお話です♪

近年、ベンチプレスで大胸筋を損傷する人が増えています。

過去に報告された大胸筋損傷に関する知見をレビューしたところ、

近年になって大胸筋損傷の報告件数が急速に増加していることが

明らかになってきているそうです。


近年のフィットネス人口の増加により、

ベンチプレスで大胸筋を損傷する人が増えています。

ベンチプレスで主に活動する筋肉は大胸筋と上腕三頭筋です。

ベンチプレスでは、肩を外に開いたところから肩を後にし、

肘を下ろしながらバーベルを下げていきます。 

そして、肩がもっとも後になる30〜40°付近で、

大胸筋損傷が生じやすいことが示唆されています。

バーベルを下げるにしたがって大胸筋には遠心性収縮

(筋肉が収縮しながら伸びる)が生じます。

遠心性収縮は筋肥大の効果を高めますが、筋損傷も誘発しやすい収縮様式です。

また、バーベルを下げるほど、運動の可動範囲は広がり、

これも筋肥大の効果を高めますが、同時に筋損傷のリスクも増加させます。

このような状況下で、筋損傷の要因とされるウォーミングアップ不足や

オーバーユーストレーニング合わさることによって、大胸筋損傷が生じるのです。


大胸筋損傷の好発部位は主に「筋腹」、「起始部」、「付着部」の3つに分けらます。

注目すべきことは「これらの部位によって重症度が異なり、

手術の有無を判断できる」ということです。

筋腹部と起始部の損傷では手術の必要性が低く、

安静や内服などの保存的療法が適応になります。


大胸筋の付着部では手術の必要性が高くなります。

これは付着部には大胸筋の腱が集まっており、

ここでの損傷は「腱の断裂」を引き起こしてしまうからです。

断裂した腱は自己修復が難しいため、手術が必要になります。


この分類は、大胸筋損傷時の緊急性の判断を助けてくれます。

ベンチプレスで大胸筋の筋腹や起始部に痛みが生じたときは緊急性が低く、

付着部の痛みや内出血は緊急性が高いと判断することができます。

付着部の損傷では、腱が断裂している可能性があるため、

早急に病院で診察を受けることが望ましいです。


なぜ付着部の損傷は重症化しやすいのでしょうか?

大胸筋は、その解剖学的特徴から鎖骨頭部(CH)と胸骨頭部(SH)に分けられます。

鎖骨頭部は鎖骨に起始をもつひとつの筋肉であり、

胸骨頭部は胸骨に起始をもつ7つ(s1〜s7)の小さな筋肉の集合体です。

その大きさは大胸筋の8割を占めています。



鎖骨頭部、胸骨頭部ともに上腕の内側(上腕骨大結節稜)に付着しており、

胸骨頭部のs5〜s7は捻れながら付着しています。

そしてベンチプレスによって断裂しやすいのが、このs5〜s7なのです。

ベンチプレスでバーベルを下げる際にもっとも伸ばされるのが

胸骨頭部のs5〜s7であり、その伸びは他の部位の2倍とされています。

この過度な伸張により、s5〜s7のペネトレーション角

(s5〜s7の筋線維が他の筋線維と近づく細く捻れる場所)が減少し、

筋出力が過度に増加するため断裂が生じやすくなるのです。


大胸筋の損傷・断裂の治療にはどの程度の期間がかかるのでしょうか?

大胸筋の筋腹や起始部の損傷は、肉離れと同じように保存的治療の対象になります。

受傷してから1~2週間は三角巾などで安静に努め、

その後は大胸筋のストレッチを行いながら、肩の可動域を広げていきます。

受傷後4〜6週より軽い負荷でのトレーニングを開始し、

6〜8週から本格的なトレーニングに移行します。

保存的治療の成績は、全体の約7割がトレーニングやスポーツに復帰できます。

しかし、治療が思うように進まない場合は手術を検討することになります。

保存的治療、手術ともに高い治療成績を示していますが、

トレーニングに復帰するまでに保存的治療で8週間、手術で6ヶ月の期間がかかります。

これだけ長い間、トレーニングができないことは、トレーニーにとって残酷なことです。



大胸筋損傷を予防する特別な方法はあるのでしょうか?

残念ながら、これをすれば大胸筋損傷を防げるという答えはありません。

ウォーミングアップをしっかり行うことや、

オーバーユーストレーニングに注意するといった

一般的な肉離れの予防方法を実践することが大切になります。

トレーニング前の効果的なウォーミングアップで推奨されているのが

有酸素運動と『特異的ウォーミングアップ』です。

生物は身体が温まると動きが活発になるように、

筋肉も温度が高くなると筋力が発揮しやすくなります。

筋肉温度が1度上昇すると筋力が4%増加することが報告されています。

そこで筋肉温度を上昇させるウォームアップとして推奨されているのが

有酸素運動』であり、ジョギングペダリングなどが挙げられます

10分〜20分ほどの有酸素運動を推奨しています。

有酸素運動によって筋肉の温度が上昇した後に行うべきなのが

特異的ウォーミングアップです。

特異的ウォーミングアップといっても難しいことではありません。

ベンチプレスを行う前に最大重量の30%程度の低負荷から

段階的に重量を増やしていくというものです。

これにより神経活動が活性化され、最大筋力を高める効果が示唆されています。

トレーニングの前にはジョギングやペダリングによって筋肉温度を上昇させ、

ベンチプレスを行う前には特異的ウォーミングアップを行い、

神経活動を高めることが大胸筋損傷の予防に効果がある可能性があります。

大胸筋損傷は稀な筋損傷で、損傷部位によっては重症化する可能性があります。

特に上腕内側の痛みや内出血が生じた場合には、

腱断裂の可能性があるのですぐに医療機関で診察を受けましょう。

ただベンチプレスで大胸筋を追い込むのではなく、

大胸筋損傷のリスクを知るとともに、ウォームアップをしっかりと行い、

オーバートレーニングに注意し、

技術的な問題はトレーナーに確認するといったことが、

大胸筋にとって厳しくとも優しいトレーニングになるので、

念頭に入れて頂けたら幸いです。






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監修 柔道整復師 福山雄気

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